タイタン 読書
あわせ今回紹介させて頂く本はロン・チャーナウ著のタイタンです。この本は私が大学二回生時に投資に興味を持ちウォーレン・バフェットや投資本を漁っているなか初めて読んだ本です。以前紹介したスノーボールの中で異常なまでの収集癖と集中力、意志の強さという共通点からウォーレン・バフェットがジョン・D・ロックフェラーと比較されている箇所があり興味を持ちスノーボール読後上下巻セットで5000円も出しAmazonにて購入した次第です。この本出版部数が少ないのかなかなか高価格で販売されているのです、、、
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上下合わせて1200ページもある大作でして著者は米国屈指の評伝作家として知られているロン・チャーナウ氏です。
著作にアレクザンダー・ハミルトン伝、モルガン家、ウォーバーグ ユダヤ財閥の興亡などがありアメリカの歴史や金融史を勉強するうえでとても参考になる作品群です。
ただこれらを投資に役立てるということになると私にその力量が無く残念です、、、
良書も読み人次第ということですね。
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過去にも伝記の出版が試みられ3年間にわたり本人に毎朝定時にインタビューが行われたようですが未完の作品となりロックフェラー関連団体の所蔵となっているようです。
彼の性格は徹底した秘密主義で知られており子供時代のことについてや私生活についてはあまり話したがらなかったといいますからこれが原因のようです。
そのインタビューで父親のことを尋ねられて一度だけ激昂したと冒頭にもありました。
どうも彼の性格は父親の影響が強くあるみたいです。
彼の父ウィリアム・ロックフェラーは家を留守にしてはインチキな薬を売ったり二重結婚をしたりなかなか破天荒な性格のようで家族は小さな町で肩身の狭い思いをしていたようです。そのため倫理に厳格で自分のことをあまり語りたがらない性格となってしまったと分析されています。理想的な家庭と言えなかったからこそ教会を家として過ごしていたという悲しいお話も、、、
その父親がなかなか面白い人で、運動神経抜群、行動力あり、長身のハンサムでさらに話上手ととてもハイスペックなんです。息子が有名となる前からちょっとした有名人で半分伝説化されて当時小説にもなっていたそうです。ちなみに偽医者をしていた時の弟子は後に有名な医者になっていたそうです。
ほとんど彼の父親の話に割いてしまいましたが、この本は彼の一人の人間としての人物像に迫った小説でありアメリカの資本主義をたどる歴史物語、さらには経済小説にもなる本です。
資産運用をされている方は興味深い話だと思うのですが、彼の異常なまでの金への執着も克明に描かれています。(というのも彼自身が帳簿Aと名付けた手帳に数十年間も家計簿をつけてきたため)
10代の頃ジャガイモの収穫を手伝い1日あたり31.13セント稼ぎ3日で1ドル稼ぎ出します。しかしある日50ドルを年利7%で近所の農家に貸し出し1か月で働かずに30セント稼いでしまいます。このことが当時少年だった彼には後の人生に影響を与えるほど衝撃的だったようです。
他にも晩年、株の配当の小切手が配達されるのが一番楽しいと語っています。
こういったエピソードは同時代のアンドリュー・カーネギーにもあり初めて友人と折半した株からの配当金をとても印象的に自伝に書いています。
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資本主義の権化のような同時代の二人が資本主義の仕組みに気づいた瞬間が世に残っているのが私にはとても面白く思いました。
次回は、彼の帳簿Aを覗かせてもらって歩んできた軌跡を見てみたみたいと思います。