トマ・ピケティ 21世紀の資本 感想
この2か月は21世紀の資本と後述する鹿島茂の馬車が買いたい!と合わせて読書三昧でした。遅ればせながら映画になったというので原作の21世紀の資本を読んでみたということになります。
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富の再分配の仕組みが滞り富裕層が富と収入を独占し産業革命以来の格差水準になっているため資産課税などの税制や新しい政策が必要であるという主張がなされています。
これまでの歴史上産業革命後の19世紀を頂点に格差が拡大し2回の世界大戦を機にインフレが加速し格差が縮小、戦後の経済の復興と安定により格差が増加し続け現在に至るそうです。
この本面白いことに19世紀の経済状況や物価、格差を当時の時代背景を持つ小説を利用し示してくれています。著者がフランス人ということもあってバルザックやヴィクトール・ユゴー、スタンダールなどの小説が本文中に出てきます。他にもイギリスのエミリー・ブロンテやついにはディズニー映画のおしゃれキャットまで参考にされています。著者の教養の広さがさりげなく出ており驚かされます。
この時代の小説は古今東西インフレによる影響が少なく普遍的な尺度であるため作品中に物価が事細かに出てくるそうです。(労働収入、食費、地代収入など)確かに日本の落語でもやたらに二八そばだの物価が出てきますね。
経済の成長が緩やかであるため富裕層の資産はインフレの影響を受けづらく、さらに資産収入>労働収入という状態だったそうです。
この本の流れで私は、鹿島茂の馬車が買いたい!を読みました。
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フランス文学者の作品で19世紀の物価から人々の生活環境や文化について紹介してくれ
ています。レ・ミゼラブルと言えば本や映画、ミュージカルなどで触れたこともあるかもしれないですが、一日の収入が24スーのジャン・バルジャンが9人家族の生活を賄うためにパンを盗んだと書かれても残念ながら現代人にはあまり実感がないものです。
次回は、この本を元に19世紀パリの物価について書いていきたいと思います。