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税金の世界史

今回は私の読書から一つ気になった物があり取り上げてみます。

"税記の世界史"

 

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著書はイギリスのコメディアンで金融評論家でもあるのだとか。

イギリスのタクシー運転手は大学を出ていて、イギリス文化の文化水準の高さについてのエピソードを聞いたことがありますが、イギリスではコメディアンも教養がないとやってられないんですね。

基本はイギリスの歴史に沿った税金なんですが、最初に悪名高い窓税から。

ノルマンコンクエスト以前からある税金だそうで、家屋の窓の数に応じて課される税金なんです。元々、プライバシーや個人という概念が無い時代の頃からも窓の数が国により規定されてしまうという事で不評でした。

しかし19世紀に入り増税が行われ、既にあった窓をレンガで塞ぐようなことも流行します。

折しも産業革命により都市人口が増え人口密度が高くなった中で、窓がない住宅が増えたわけです。湿度の高いイギリス、そんな中で人口密度が高く採光や換気のできない住宅があふれ疫病が蔓延してしまったそうです。

因みに英語にはdaylight robbery  ぼったくりという意味の慣用句があります。

これは一般的には白昼強盗という意味だそうですが、日光泥棒つまり窓税を起源とするという説もあります。

なんか、こういうユーモアがあるあたりイギリス文化って感じがしますね。

 

こんな風に税金が人の生活や文化を規定されており歴史的事件も引き起こされたと紹介されていました。

例えば、ロンドン大火、これは炉税の徴収を逃れることを図った民衆が隣家との煙突の壁をぶち抜いたことから火事の被害が広がったようです。

姓名も人の区別だけでなく人頭税の必要性からできたとも言われています。ヨーロッパでは14世紀からある文化です。

史上最古の文字の記録は納税の記録なんてのもありました。

 

また面白かったのが、所得税

古代から各地であり奇妙にもローマ、カルタゴ、インドなど10分の1税と共通しています。指の本数と無関係ではないという学者の意見もあるのだとか。

 

第一次世界大戦になると各国では女性の社会進出が広がります。

これに目を付けた政府は、女性からも所得税を取りたいと考えだし参政権を与えます。

古代アテネでもローマ帝国でも行われてきたことが繰り返されているのが面白いですよね。

古代アテネでは、ペルシアという外敵への対応のため無産階級にも戦争へ参加させるために参政権を与えます。

ローマ帝国も国防への必要性から市民権の拡大がなされています。

 

また著者はコメディアンなだけあって数々ブラックユーモアを盛り込んでくれています。

国民の生涯で最も効果な買い物は政府。

人間の労働期間を45年間とした時、20年以上を国に捧げる必要があるそうです。

これでは半日を領主への労働に費やす農奴と変わらないともありました。

徴税コストへの批判もあります。

イギリスの税法典は1000万語、最も簡素と称賛されている香港ではその1.5%なんだとか。世界一長い小説であるプルースト失われた時を求めての8倍もあるんだとか。

イギリスだけでなく、世界でも不効率な徴税制度の歪みが起きています。

世界で最も理解し難いのは所得税というのはアインシュタインの言葉。

アメリカでは、納税申告の書類作成だけをやる労働者は430万人もいるとのこと。

運転手と同じ数だけいるのだとか。非生産的ですね。

ブラジルでは、法務部の規模が世界最大で未来には社員の8割が法務部所属になるそうです。

 

他にもユーモアたっぷりに事例が紹介されているので是非読んでみて下さい。