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【読書】ゾルゲ東京を追え

今回も私の読書記録から一冊を紹介したいと思います。

ゾルゲ  東京を狙え】です。

戦前から戦時中に暗躍したソ連のスパイ、リヒアルト・ゾルゲの実像に迫ったノンフィクションです。

ゾルゲ事件というものを手塚治虫の作品などでぼんやり知っていたので興味を持って手に取ってみました。

わざわざ、隣の市まで行って図書カードを作った甲斐がありました。

こういう一期一会があるからAmazonで本を調べるだけでなく、と図書館や本屋に立ち寄るようにしています。

 

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まずは、著者についてですがアメリカの歴史学者です。

GHQで戦略室長として占領下の日本で勤務した経験から、第二次世界大戦下の日本に関する著作を出しており映画化されている作品もあります。

この著者の死後、お弟子さんたちが生前ゾルゲについてまとめた資料を編集し出版したものが今回の本書となります。

また訳者の経歴もなかなか面白いのでここに紹介させて頂きます。

昭和5年に海軍兵学校を卒業された元将校で、GHQにて著者の下で戦史調査員として働いていた経験があります。その縁もあって著者の著作に多数訳者として活躍しています。

 

本書を読んでなかなか興味深かったのは、ゾルゲの人柄です。

スパイのイメージとして知的で警戒心が強いイメージがあるんですが、なかなか大胆なんですよね。

全く仕事に関係ないことで、酩酊状態のままオートバイを運転し重体を負い以後は総入れ歯になっています。

また自宅も永田町の警察所前に借りるなどなかなか大胆です。

ドイツの新聞記者として入国したそうですが、当時の外国人は目立ってしまったことでしょう。

ドイツ大使と親しく大使館内に個室を与えられスパイ活動に活用していたのですが、その夫人と不倫関係にあったとも言われています。

当時の知人に取材がなされているのですが、皆共通して人たらしであると証言しています。滞在9年間で日本への知識を高めており、日本語は最後まで流暢に話せなかったようですが、源氏物語や茶道に通じていたようです。

また彼がつくったスパイグループのメンバーもなかなか面白いのです。

一人は日本人で尾崎秀実、なんと政府関係者です。満州鉄道で関東軍の為の調査、近衛内閣の相談役である朝飯会のメンバーと政府中枢の大物です。作家としても活躍していたようです。

無線担当にマックス・クラウゼンという人物がいます。

身元のダミーとしてスパイ活動の傍らオートバイの輸入を始めますが、これがあたりコピー機の製作所を立ち上げ、政府、軍関係者を顧客に持つなど大分活躍をしています。

よほど事業が楽しかったのでしょうか、大卒の初任給の5倍の純利益を上げるようになりついには、中国の奉天に事業を拡大しています。

そして資本主義に染まり本国への通信を意図的に重要報告をもみ消しを図るなどサボタージュするようになったようです。

ただこれは戦後、英雄として勲章を受け東ドイツで静かに暮らしていることからもサボタージュについては真偽を疑う声が多いようです。

 

そしてソ連も崩壊し情報公開が進み、ドイツ、日本、ソ連アメリカでの国境を越えた研究が進み、著者が研究をしていた80年代からは大きく事実が異なるものもあるようです。また同じテーマの書籍を見つけたら是非読んでみたいです。

 

 

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