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【読書】戦略の世界史

最近、『~の世界史』なんてタイトルの本が増えてきました。

そんな中、図書館に戦略の世界史というタイトルの本があったのでついつい手に取りました。

 

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著者はジョン・キーガンという軍事史家です。軍事エリート一家に生まれたそうですが、足が不自由であったため軍隊経験のないまま学術の世界に入ったなかなか変わった経歴の持ち主です。

内容としては、歴史と共にどのように人間の取る戦略が変わっていくのか、時代が変わっても不変の戦略があるのか、をテーマにしているのかと思って期待していたので少し残念でした。

 

テーマはこれまで戦争は政治の延長とされていたものを、古代から近世まで振り返り否定しています。

核の保有が行われるようなりこの本が出版される前にはなかった9.11の自爆テロが行われるようになった時代の中で、面白い主張だと思いました。

 

この本では、まず少数民族、部族における戦争から原始社会、古代に行われた戦争を描き出しています。

いくつかの現代の部族の戦争が紹介されていましたが、いずれも何人かケガをした時点で勝敗が決まり死者が出ることはまれで、血が出ないことも珍しくなかったようです。

中でもマヤ文明のアズテック族の戦争は、神への生贄獲得のために戦争をしていたようです。また武器も殺傷能力が低く死者は出ないようです。

外敵のいない世界で、わざわざ犠牲に供する人材がいる豊かな社会なんだそうです。

このような事例から著者は、戦争は決して政治という合理的な理由だけで規定できず、

文化の影響を受けていると主張します。

そして古代エジプトの工芸、美術から文化水準の割に同時代のメソポタミアと比べ戦争の装備水準が低いことを指摘しています。

しかし、時代が変わるとエジプトでも馬に車を引かせた戦車が登場します。

遊牧民の戦術が世界に広がり殺傷を厭わない戦争が行われるようになったとのことです。

そしてテクノロジーの進歩とともに総力戦と化した近代の戦争、現代の核の脅威にも話が及びます。

これまで古代社会においての一騎打ち、儀式が戦争の過激化を防ぐアイディアだったのではないか。戦争を政治の延長線上に置くのは人類の自滅につながると著者は結んでいます。

この著者が出版が行われたすぐ後に、ボスニア戦争が起き民族浄化が行われただけに一見非合理的に見えるような原始部族の戦争の儀式が現代社会の解決策になるのかもしれないと考えた日曜日でした。

 

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